iDeCoとNISA 始める時の手続きはどう違う? 初心者向け解説
iDeCoとNISA、いざ始める時の「手続き」はどれくらい違う?
将来への備えとして、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)に関心をお持ちの方は多いかもしれません。テレビやインターネットで情報に触れる機会も増え、「そろそろ始めてみようか」とお考えになることもあるでしょう。
しかし、いざ始めようと思うと、「手続きがなんだか難しそう」「書類がたくさん必要なのでは」「どこから手を付ければいいのか分からない」といった不安が頭をよぎることもあるのではないでしょうか。
確かに、iDeCoとNISAはそれぞれ異なる制度であり、始めるための手続きにも違いがあります。ですが、その違いや流れを事前に知っておけば、不安は和らぎ、スムーズに手続きを進めることができるはずです。
この記事では、iDeCoとNISAを始める際の具体的な手続きの流れや、それぞれの違いについて初心者の方にも分かりやすく解説します。これから資産形成を始めたいと思っている方が、一歩踏み出すための参考になれば幸いです。
iDeCoを始める際の手続きの流れ
iDeCoは、ご自身で掛金を設定し、運用する年金制度です。将来のための資産を非課税で積み立てていくことができますが、その性質上、公的な手続きが含まれるため、NISAとは少し異なる流れになります。
iDeCoを始める際の主な手続きは、以下のステップで進みます。
- 金融機関を選ぶ
- iDeCoを取り扱う金融機関(銀行、証券会社、保険会社など)を選びます。手数料や提供される運用商品などを比較検討して決めましょう。
- 申込書類を作成・提出する
- 選んだ金融機関からiDeCoの申込書類を取り寄せます。インターネットでダウンロードできる場合もあります。
- 必要事項を記入し、本人確認書類、マイナンバー関連書類、勤務先の情報(会社員の場合)、掛金引き落とし口座の情報などを準備して提出します。
- 国民年金基金連合会での審査
- 提出された書類は、金融機関を通じて国民年金基金連合会に送られ、加入資格などの審査が行われます。
- この審査には、通常1ヶ月〜2ヶ月程度の時間がかかります。
- 「個人型年金加入確認通知書」などが届く
- 審査が完了し、加入が認められると、国民年金基金連合会から「個人型年金加入確認通知書」などが郵送されます。
- これを受け取ると、iDeCoの運用が開始できる状態になります。
- 初期設定と運用商品の選択
- 加入確認通知書が届いた後、金融機関のウェブサイトなどで初期設定を行います。
- 毎月の掛金額の設定や、どの運用商品(投資信託など)で運用するかを選択します。
iDeCoの手続きは、金融機関への申し込みだけでなく、国民年金基金連合会の審査を経る点が特徴です。少し時間がかかることを念頭に置いておくと良いでしょう。
NISAを始める際の手続きの流れ
NISAは、株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度です。iDeCoのように掛金が全額所得控除になる税制優遇はありませんが、途中で引き出しやすいなど、iDeCoとは異なる特徴があります。
NISAを始める際の主な手続きは、以下のステップで進みます(ここでは現行の一般NISA・つみたてNISAを想定した一般的な流れを解説します。2024年からの新NISAについても基本的な流れは同様です)。
- 金融機関を選ぶ
- NISAを取り扱う金融機関(主に証券会社や銀行)を選びます。手数料、運用商品のラインナップ、取引ツールの使いやすさなどを比較して選びましょう。
- 重要: NISAは1人1口座しか開設できません。複数の金融機関でNISA口座を持つことはできませんので、慎重に選びましょう。
- NISA口座開設の申し込み
- 選んだ金融機関のウェブサイトや窓口でNISA口座開設を申し込みます。
- 本人確認書類、マイナンバー関連書類、印鑑などが必要です。オンラインで手続きが完結する場合も増えています。
- 税務署での確認
- 金融機関から税務署に「非課税適用確認書」の交付申請が行われます。
- 税務署で、二重にNISA口座を開設していないかなどが確認されます。
- この確認には、通常1週間〜2週間程度かかります(オンライン手続きの場合はより早いこともあります)。
- NISA口座開設完了の通知
- 税務署での確認が完了すると、金融機関からNISA口座開設完了の連絡が入ります。
- 入金と運用商品の購入
- 金融機関の口座に入金し、運用したい商品(株式や投資信託など)を選択して購入します。
NISAの手続きは、基本的に金融機関とのやり取りで完結し、税務署の確認が入るという流れです。iDeCoと比較すると、手続き期間は比較的短い傾向があります。
iDeCoとNISA、手続きの主な違い
改めて、iDeCoとNISAの手続きにおける主な違いをまとめてみましょう。
| 項目 | iDeCo(個人型確定拠出年金) | NISA(少額投資非課税制度) | | :------------- | :----------------------------------------------- | :------------------------------------------------- | | 申し込み先 | 金融機関 + 国民年金基金連合会 | 金融機関 + 税務署での確認 | | 手続き期間 | やや長め(1〜2ヶ月程度) | 短め(1〜2週間程度、オンラインなら数日〜1週間) | | 必要な書類 | 本人確認、マイナンバー、口座情報、勤務先情報など | 本人確認、マイナンバー、口座情報など | | 口座開設数 | 1人1口座(どの金融機関で開設しても1口座) | 1人1口座(金融機関を選ぶ必要がある) |
最も大きな違いは、iDeCoには国民年金基金連合会での審査が加わる点です。これにより、手続き完了までに少し時間を要します。一方、NISAは主に金融機関と税務署の確認で済むため、比較的早く取引を開始できます。
また、iDeCoは掛け金が所得控除の対象となるため、申し込み時に勤務先の情報(事業主の証明など)が必要になる場合があります(自営業などの場合は不要)。NISAではこの情報は通常必要ありません。
手続きをスムーズに進めるためのポイント
初めてiDeCoやNISAの手続きを行う際に、スムーズに進めるためのポイントをいくつかご紹介します。
- 事前に情報収集する: 申し込む金融機関を決める前に、それぞれのウェブサイトで手続き方法や必要書類を確認しておきましょう。オンラインでの手続きに対応しているかどうかも確認すると便利です。
- 必要書類を準備する: 申し込みに必要な本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)、マイナンバー関連書類、印鑑証明書(必要な場合)、銀行口座の情報などを事前に揃えておくと、記入や提出がスムーズです。
- 勤務先への確認(iDeCoの場合): 会社員の方がiDeCoに加入する場合、企業型確定拠出年金に加入していないか、事業主の証明が必要かなどを勤務先の担当部署に確認しておくと二度手間を防げます。
- 不明点は金融機関に問い合わせる: 書類の書き方や手続きの流れで不明な点があれば、遠慮なく金融機関のコールセンターや窓口に問い合わせましょう。専門家が丁寧に教えてくれます。
- オンライン手続きを活用する: 最近は多くの金融機関でオンラインでの手続きが可能です。郵送の手間が省け、比較的早く手続きが進む傾向があります。
まとめ:まずは一歩踏み出してみましょう
iDeCoとNISA、それぞれの始めるための手続きについて解説しました。
iDeCoは国民年金基金連合会の審査があるため少し時間を要し、NISAは金融機関と税務署での確認で比較的早く始められる、という違いがあります。必要書類にも若干の違いがありますが、どちらの制度も、事前に情報収集を行い、必要な書類をきちんと準備しておけば、それほど複雑な手続きではありません。
特に40代後半から50代にかけて、老後資金への不安から資産形成に関心を持たれる方も多いかと思います。「今から始めても遅いのでは」「手続きが大変そう」と感じるかもしれませんが、まずは情報を集め、自分に合った制度はどちらか、どの金融機関が良いかなどを比較検討することから始めてみてはいかがでしょうか。
多くの金融機関では、ウェブサイトで手続きの流れを詳しく説明していたり、シミュレーションツールを提供していたりします。まずは関心のある金融機関のウェブサイトを覗いてみるのも良いでしょう。
この記事が、iDeCoやNISAを始めるための一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。