【初心者向け】iDeCo NISA 複利って何? 40代・50代からでも活かせる資産形成の秘密
【初心者向け】iDeCo NISA 複利って何? 40代・50代からでも活かせる資産形成の秘密
老後資金の準備について考え始めた際、「iDeCo」や「NISA」という言葉を耳にされる機会が増えたかもしれません。そして、これらの制度と並んで「複利」という言葉を目にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に40代後半から50代にかけて、「今から始めても間に合うのだろうか」「何だか難しそう」といった不安を感じながらも、将来のために資産形成に関心を持たれている方も多くいらっしゃいます。
資産形成を進める上で、この「複利」という考え方は非常に重要になります。この記事では、投資初心者の方にも分かりやすく、複利の仕組みと、iDeCoやNISAでそれをどのように活かせるのか、特に40代・50代という年代から始める場合の有効性について解説します。
記事を読み終える頃には、漠然としていた複利のイメージが明確になり、iDeCoやNISAでの資産形成に対する理解が深まることを目指します。
そもそも「複利」とは? 単利との違い
まず、資産形成の基本となる「複利」の仕組みから理解しましょう。
「複利」とは、運用で得られた利益(利息や運用益)を、受け取らずに再び元本に組み入れ、その組み入れられた元本と利益の合計に対して、次の期間の利益が計算される方式です。例えるなら、「雪だるま式」に資産が増えていくイメージです。
これに対し、「単利」は、最初に投資した元本に対してのみ利益が計算され、得られた利益は毎回受け取るか、再投資されない方式です。
簡単な例で違いを見てみましょう。
-
単利: 元本100万円を年利3%で10年間運用する場合
- 毎年3万円の利益が発生し、合計30万円の利益(運用終了時に130万円)
-
複利: 元本100万円を年利3%で10年間運用する場合
- 1年目:100万円 × 3% = 3万円(合計103万円)
- 2年目:103万円 × 3% = 3万900円(合計106万900円)
- ...と、増えた分に対しても利益がつくため、単利よりも最終的な合計額は大きくなります。
- 10年後の合計は約134万3900円となります。(税金や手数料は考慮しない単純な例です)
このように、期間が長くなるにつれて、複利と単利の差は広がっていきます。これが「複利は時間の経過とともに力を増す」と言われる理由です。
なぜ40代・50代の資産形成に「複利」が重要なのか
「複利の効果は長い期間でこそ発揮されるなら、40代や50代から始めてもあまり意味がないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、決してそうではありません。
確かに、20代や30代から始める場合に比べると、複利効果が働く「時間」は短くなります。ですが、限られた期間の中で少しでも効率よく資産を増やすためには、この複利効果を理解し、活用することが非常に重要になるのです。
例えば、45歳から65歳までの20年間、毎月3万円を積み立て、年利3%で運用できたと仮定します(税金や手数料は考慮しない単純な例です)。
- 積み立て元本合計: 3万円 × 12ヶ月 × 20年 = 720万円
- 複利で運用した場合の最終的な資産合計: 約986万円(運用益 約266万円)
もしこれが単利であった場合、運用益は約432万円(720万円の3%が毎年、元本のみにかかる計算)となり、最終的な資産は約1152万円となります。しかし、これは得た運用益をすべて受け取る場合の試算であり、現実の投資においては運用益をそのまま再投資することで複利効果を得ることが一般的です。上記の複利計算は、運用益が自動で再投資され、雪だるま式に資産が増えていくイメージを示しています。
注目すべきは、たとえ20年間という期間でも、積み立てた元本に対して約266万円もの運用益(税金・手数料を考慮しない場合)が期待できる可能性があるという点です。これは、ただ預金しているだけでは得られない効果です。複利の力を使うことで、同じ「積み立てる」という行為でも、将来の資産に大きな差が生まれることがお分かりいただけるかと思います。
iDeCoとNISAが「複利効果」を最大限に活かせる理由
iDeCoとNISAは、この複利効果を最大限に活かすのに非常に適した制度です。その理由は主に以下の3点です。
-
長期・積立投資との相性の良さ: iDeCoもNISA(特に「つみたて投資枠」)も、毎月決まった額をコツコツと長期間積み立てていく「積立投資」を前提とした制度設計がされています。積立投資は、値動きに一喜一憂せず、淡々と続けることで、市場の変動リスクを分散させながら投資を行う手法です。 そして、毎月コツコツ買い付けた資産が、それぞれ運用益を生み、その運用益がさらに次の運用益を生むという、複利のサイクルを着実に回していくことができます。
-
運用益への非課税: これがiDeCoとNISAの最大の特徴であり、複利効果を強力に後押しする仕組みです。 通常の投資では、運用で得られた利益に対して約20%の税金がかかります。しかし、iDeCoとNISAでは、この運用益が非課税となります。 本来なら税金として差し引かれるはずだった分が、まるごと次の投資に回る、つまり「再投資」されることになります。これにより、税金で目減りすることなく複利の力をフルに働かせることができるのです。
-
再投資のしやすさ: iDeCoやNISAで投資対象として選ばれることの多い投資信託は、得られた分配金(運用益の一部を投資家に還元するもの)を自動的に再投資するコースが主流です。 この「自動再投資」の設定にしておくことで、意識することなく運用益が元本に組み入れられ、効率的に複利効果を享受し続けることができます。
これらの特徴により、iDeCoやNISAを活用した資産形成は、ただの貯金や課税口座での投資に比べて、より効率的に複利の力を借りて資産を増やしていくことが期待できます。
40代・50代が複利効果を意識してiDeCo/NISAを始めるためのヒント
「今からでも複利の力を味方につけたい」と考えられた方に、iDeCoやNISAで資産形成を始める上でのヒントをいくつかご紹介します。
-
ヒント1:まずは「無理なく継続できる額」で、少しでも早く始める 複利は時間の経過とともに力を増します。40代・50代から始める場合、残りの運用期間は限られますが、それでも1年でも早く始めることが、複利効果を享受できる期間を長くすることにつながります。毎月数千円からでも構いません。まずは無理なく続けられる金額で第一歩を踏み出すことが大切です。
-
ヒント2:手数料(信託報酬など)の低い運用商品を選ぶ 複利効果は長期で働くため、わずかな手数料の違いも長期で見ると無視できない差になることがあります。iDeCoやNISAでは、手数料が低いインデックスファンドなどが人気です。運用期間が長くなるほど、手数料の負担は複利の力と逆方向に働くため、商品選びの際は手数料も確認しましょう。
-
ヒント3:適切なリスク分散を心がける 複利効果は運用がプラスで推移することで最大限に発揮されます。大きな損失は複利の力を弱めてしまう可能性があります。一つの商品に集中投資するのではなく、複数の地域や資産クラスに分散投資することで、リスクを抑えながら長期的なリターンを目指すことが、複利の力を活かす上でも有効な戦略となります。
-
ヒント4:定期的な運用状況の確認も有効(ただし頻繁な売買は注意) iDeCoやNISAは基本的に長期投資が前提ですが、年に一度など定期的に運用状況を確認し、資産配分のバランスが崩れていないかなどをチェックすることも有効です。ただし、市場の短期的な変動に慌てて頻繁に売買を行うと、かえって複利効果を損ねたり、損失を確定させてしまったりする可能性もあるため注意が必要です。
まとめ:40代・50代からのiDeCo NISA、複利を味方につけましょう
この記事では、「複利」の仕組みと、それがiDeCoやNISAでの資産形成、特に40代・50代から始める場合にどのように重要になってくるのかを解説しました。
複利は「運用益が運用益を生む」という雪だるま式の資産増加メカニズムであり、iDeCoやNISAの「長期・積立」「運用益非課税」という特徴と組み合わせることで、その力を最大限に活かすことができます。
「今からでは遅いのでは?」と感じていらっしゃる方も、残された期間でも複利の力を借りて効率的な資産形成を目指すことは十分可能です。まずは複利の仕組みを理解し、無理のない範囲でiDeCoまたはNISA、あるいはその両方で、着実に資産形成の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
ご自身の状況に合った制度選びや具体的な運用方法については、さらに情報収集を進めたり、必要に応じて専門家や金融機関に相談することもご検討ください。将来の安心のために、今からできることから始めていきましょう。